積翠寺温泉　古湯坊　坐忘庵 せきすいじおんせん こゆぼう ざぼうあん Sekisuiji-onsen Koyubou ZABOUAN　

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取材をした4月上旬、甲府盆地は桜の季節であった。 甲府市内、武田神社へと続く武田通りは、見事な桜並木になっている。 特に山梨大学の前は、たくさんのソメイヨシノに彩られ、笑顔で語り合う学生の姿が多く見られた その通りを武田神社の方へ進むと、戦国時代のごとく「風林火山」の旗印がはためいている。 4月12日は、天下統一の夢を果たせぬままにこの世を去った、名将・武田信玄（1521-1573年）の命日だ。 武田神社では大正8年の創建以来、信玄公の命日に例大祭が行われている。 今でも山梨県を象徴し、県民がこぞって「信玄さん、信玄さん」と親しむヒーローだけに、その日を中心に、武田家一族の遺徳を現代に伝えるお祭りが、県内各地で行われるのだ。

武田神社の桜

戦国武将といえば、豊臣秀吉の建てた大坂城のような、立派な天守閣を持つ城を想像するが、信玄公はその例からもれる。 確かに、山梨に甲府城という城はあった。 しかしそれは、武田氏滅亡後、甲斐を領した徳川家康によって築城されたものである。 信玄は甲斐の国主となって以来、度重なる戦に勝ち続け、甲斐本国に加え、信濃、駿河、西上野、遠江、三河と美濃の一部を領土とした。 しかし、領国を拡大しても自らのための城は築かず、その経営に心血を注ぎ、治水工事、農業・商業の隆興に力を入れた。 そのため、たくさんの領民に深く愛されたと言われている。 山梨県甲斐市にある堤防「信玄堤」は、その代表例である。 古来より甲府盆地は、釜無川、その支流の御勅使川（みだいがわ）、笛吹川などで水害が多かった。 1541年（天文10年）甲斐の国主となった武田晴信（信玄）が、この地帯の民生安住のため、21歳で大治水計画を立て、翌年着手した。 以来、約20年の歳月を費やし、完成させたのが「信玄堤」なのだ。 ところで、城を持たなかった信玄はどこに住んでいたのか。 元々、武田氏歴代の居館は、石和（笛吹市石和町）にあった。 しかし、信玄の父、信虎の代で、西の甲府へ移り、「躑躅ヶ崎館（つつじがさきやかた）」という居館を築いた。 以後、この館には信虎・信玄・勝頼の三代が、60年余りにわたって居住した。 実は「武田神社」は、その「躑躅ヶ崎館跡」にある。 そのため、神社でありながら、当時からの堀、石垣、古井戸等が残存し、面影をみることができるのだ。

武田神社の入口

堀と土累を巡らせた武田神社。土累の幅は20ｍで、堀の高さは17ｍあるという。 水堀では、ガチョウや白鳥が優雅に泳ぐ姿を見ることができた。

堀を泳ぐハクチョウ

館の広さは、周囲の堀を含めて東西約200メートル・南北約190メートル、面積は約1.4万坪（約4.6万m2）。 およそ、東京ドームと同じぐらいの広さがある。 現在、「武田神社」は、保存整備事業が始まっており、武田信虎が館を築いてからちょうど500年目にあたる2019年（平成31年)に、完成を予定している。

武田神社拝殿

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