草屋根の宿 龍のひげ/別邸 ゆむた - コラム~総括(3)-

2008年(平成20年)、日野社長は、「山荘 ゆむたの森」より高級な離れを作る事を考え始めた。
きっかけは、長男である正人さん(昭和55年生まれ)の存在。
当時は、由布院などの有名老舗旅館などで料理修行を重ねていた。
彼が将来、宿に帰ってくるのであれば、充分に腕をふるう場所を作らねば・・・と、日野社長は考えたわけだ。

しかし、ただ高級な部屋を作っても仕方ない。
何か"ウリ"になるようなものを探していた。
そこで、以前関わっていた林業の仕事をしている時に知った"草屋根"が思い浮かんだ。
屋根に、昔からこの周辺で自生していた野草「リュウノヒゲ」を敷くことにした。
別名「ジャノヒゲ」とも呼ばれる「リュウノヒゲ」は、日本、中国、朝鮮半島などに自生し、冬でも葉が枯れない常緑性で、毎年育つ多年草である。
耐寒性が非常に強く、きわめて丈夫なので、家庭のガーデニングでも人気が高い。
この「リュウノヒゲ」を屋根に敷くことで、夏は涼しく、冬は暖かくなるという。
「リュウノヒゲ」を敷き詰めた草屋根
「リュウノヒゲ」を敷き詰めた草屋根
2012年6月、このエコな緑化屋根システムは、日野社長が施工業者と一緒に汗を流し、3年の歳月を懸けて創り上げた。
本来「龍のひげ」は全6棟にする予定だったらしいが、この屋根に予算を使ったため5棟に抑えたのだという。
日本初の「リュウノヒゲを使った草屋根の宿」は、こうして完成したのだ。

全5棟露天風呂付き離れの「草屋根の宿 龍のひげ」は、木に精通している日野社長だからこそ完成したと言えよう。
地元の銘木を適材適所に使い、木肌の風合いを活かした造りになっている。
全棟備わった、ウッドテラスは、由布岳を正面に眺められるように設計。
標高650mということもあり、夏でもエアコンいらずで、自然の風を感じながら景色を楽しむ事ができるのも、由布院の街中にある宿では決して味わえないはず。
由布岳を望むウッドテラス
由布岳を望むウッドテラス
「龍のひげ」は連日満室。「山荘 ゆむ田の森」の宿泊客からも「龍のひげ」に泊まりたいという要望が高まってきた。
翌年の2013年に、日野社長は「山荘 ゆむ田の森」を取り壊し、全く新たに2名専用の「別邸」建築へ乗り出す事を決めた。
そして2014年6月、全5室半露天風呂付きの「別邸 ゆむた」が完成。
「別邸 ゆむた」の中庭と客室へのアプローチ
「別邸 ゆむた」の中庭と客室へのアプローチ
全ての客室に半露天風呂とウッドテラスが付き、晴れた日には目の前に由布岳を望め、源泉100%かけ流しの半露天風呂と、お籠り滞在に配慮した室内設備が整っている。 一番広い客室では60平米を二人で独占し、自然に囲まれた開放感とプライベート感のバランスが丁度いい。 5タイプそれぞれに趣向が凝らされて、常連客も、シチュエーションや季節ごとにお部屋選びを楽しめそうだ。
半露天風呂付き 古民家風「もみじ」の客室1 半露天風呂付き 古民家風「もみじ」の客室2
半露天風呂付き 古民家風「もみじ」の客室
夕食は母屋の個室食事処で頂く。夕暮れ時の中庭へ出ると、チェックイン時に歩いてきた長閑な小径の、打って変わった幻想的な情景に心奪われるだろう。
楽しみでたまらない夕食を前に、ちょっと散策を楽しめば罪悪感も和らぎ、心置きなく美味しい料理を堪能できる。
ライトアップされた「別邸 ゆむた」の中庭と「KENKO階段」1 ライトアップされた「別邸 ゆむた」の中庭と「KENKO階段」2
ライトアップされた「別邸 ゆむた」の中庭と「KENKO階段」
例年5月末~6月中旬くらいには、源氏蛍もやってくるそう。
運よく自然の美しい光景に出会えた時の感動は、都会やバーチャルでは決して得られない幸福だ。
気温が高くなってくると、様々な虫たちが姿を現す。
これだけの大自然の森の中にいれば、当たり前だ。
夏場などは、カブトムシやクワガタムシが客室に遊びに来ることもあるだろう。
子どもの頃を思い出し、そういった虫たちと触れ合うのも、この宿の魅力の一つだ。
この宿は、お客のプライバシー重視しており、旅館の仲居さんのように常時スタッフが接待する訳では無い。どちらかといえば別荘で過ごすような感覚に近いだろう。
料理長を務める日野正人さん その分、料理に関しては決して妥協はしない。
現在の料理長は、日野社長から替わって、長男の正人さん。
彼は、「龍のひげ」ができる1年前の2011年に、料理修行を終えて宿に戻ったのだ。
日野社長にとっては、心強いパートナーと後継者を、一緒に手に入れたというところだろう。
これで、新体制の「龍のひげ+別邸ゆむた」がスタートしたわけだ。
料理長を務める日野正人さん

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草屋根の宿 龍のひげ/別邸 ゆむた 宿泊レポート


コラム
コラム

大分県のほぼ中央部、“豊後富士”と称される由布岳(1584m)の裾野に広がる由布院。 その昔、由布院盆地は、山々に囲まれた大きな湖だったと伝わっており、こんな伝説もある。 ある日、霊峰・由布岳の化神・宇奈岐日女(うなぐひめ)が、力自慢の権現を従えて、山の上からこの広大な湖を眺めていた。 日女は......

貸切&客室露天 レポート
貸切&客室露天 レポート

敷地内から湧出している自家源泉は2本。 この2つの源泉は、「弱酸性」と「弱アルカリ性」の2種類の単純温泉.....

施設&温泉  レポート
施設&温泉 レポート

「草屋根の宿 龍のひげ」は、由布院の温泉組合に所属しているが、エリア的には由布院の喧騒から離れた場所に位置する。 クルマでアクセスする.....

客室 レポート
客室 レポート

2012年6月に完成した「草屋根の宿 龍のひげ」は、全5棟が半露天風呂付き客室となる。 「母屋」と呼ばれるフロント棟の近くに点在し、全て緑に囲まれた離れ形式。 2014年6月7日に新築オープンした.....

料理 レポート
料理 レポート

この宿の夕食は、地の食材を中心に用いて、鮎やヤマメなどの川魚や豊後牛を始めとした特選黒毛和牛が食卓を鮮彩る和会席。離れの宿なので、.....

おまけ レポート
おまけ

ニューオープンの「龍のひげ」では、自然を利用したエコシステムを各所に採用している。 代表的なのは、.....

この宿のキーワード
由布岳を望む半露天風呂付き離れ
全客室に源泉かけ流しの半露天風呂付き
厳選された素材のみを使った渾身の献立
草屋根や床下換気などエコの取り組み
東京ドーム4個分の広大な森に佇む宿
こんな人はOK
森の木々、草花、鳥、虫など、自然と戯れることができる方
何もしない時間を贅沢だと思える方
こんな人はNG
宿を拠点に周辺をめぐりたい方
傾斜地を歩くのが苦手な方

草屋根の宿 龍のひげ/別邸 ゆむた 基本情報

宿泊情報

IN 15:00
OUT 11:00
カード使用 不可
部屋の眺望 由布岳・森・庭
部屋食 なし
夕食の内容 和会席
朝食の内容 和食

宿泊料金 ※料金は1室2名様宿泊時の1名様分 (税込)

公式HPネット予約特典 【ベストレート(最低価格)保証】公式HPからの予約が一番お得な料金になっております。
お得なプラン 記念日プラン、連泊プラン、期間限定の特別プランなど、詳細は公式をチェック★
【離れ:龍のひげ】
半露天風呂付き一戸建て離れ
¥39,000~
休前日アップ料金 ¥1,000~
和モダン・ヴィラ「つくし」(定員2~3名)
ナチュラルな木を使った明るい雰囲気
間取り・・・踏込+8帖+板間+ウッドテラス+客室半露天風呂+T
【別邸 ゆむた】
半露天風呂付き客
¥28,000~
休前日アップ料金 ¥1,000~
北欧古民家「あけび」(定員2名)
白と茶とグリーンを基調とした北欧的な雰囲気
間取り・・・ベッドコーナー+ソファーコーナー+ウッドテラス+客室半露天風呂+T 

施設情報

創業/改築 創業:1997年(平成9年)/改築:2014年(平成26年)
部屋数 全10室 (露天風呂付客室 10室)
収容人数 30名
貸切風呂 部屋付き:石風呂(半露天風呂)
眺望:由布岳、森、庭
大浴場・他
駐車場 10台
ペット 不可
バリアフリー 非対応
エステ・マッサージ エステあり(30分/¥5,000)※要予約 マッサージあり(45分/¥4,000)
インターネット Wi-Fi
DVD あり
TVチャンネル NHK2局 民放3局
施設 レストラン・バー
冷蔵庫のシステム 持ち込み専用冷蔵庫(持ち込みのドリンクを入れるスペースあり/冷凍室なし)
自動販売機 ジュースあり、アイスクリームなし
売店 なし
浴衣 バスタオル
タオル 石鹸
ボディソープ シャンプー
コンディショナー リンスinシャンプー
シャワーキャップ 歯ブラシ
ドライヤー ブラシ
くし カミソリ
綿棒 洗浄機付きトイレ

その他サービス・レンタル情報

車いす
お子様
外国語

おまけ情報

オススメお土産
近くのコンビニ 車で10分
携帯アンテナ ◎docomo ◎au ◎softbank

貸切利用

料金
利用時間
※食事付きプラン(要予約)
料金
食事の内容
設定日
受付時間
その他

男女別利用

料金
利用時間
その他

草屋根の宿 龍のひげ/別邸 ゆむた 温泉情報

泉質 ①弱アルカリ性単純温泉(低張性 弱アルカリ性 高温泉)
②弱酸性単純温泉(低張性 弱酸性 高温泉)
源泉の温度 ①51.5℃
②46.4℃
湧出量 2本で120リットル/分
水素イオン ①②の混合泉:pH7.8
溶存物質総量(ガスを除く)
源泉の湧出状況 自家源泉で動力泉(ボーリングによってくみ上げる源泉) ※自家源泉の本数2本
加水/循環ろ過 全てのお風呂は、加水をしない源泉100%かけ流し※①②の混合泉を使用。
加温 なし
消毒 なし
浴槽の湯の入替 1日1回
入浴剤 未使用
泉質別適応症(平成26年7月1日改定) 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康促進
浴用の一般的適応症(平成26年7月1日改定) 筋肉若しくは関節の慢性的な痛みまたはこわばり
( 関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、 神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期 )、
運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、 末梢循環障害、胃腸機能の低下
( 胃がもたれる、腸にガスがたまるなど )、 軽症高血圧、 耐糖能異常 ( 糖尿病 )、
軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、
ストレスによる諸症状 ( 睡眠障害、 うつ状態など )、病後回復期、疲労回復、健康増進
湯の色 ①無色透明 ②無色~弱灰色
飲用 不可
飲用の適応症
におい/味 ①無臭 ②鉄や硫黄の臭い

草屋根の宿 龍のひげ/別邸 ゆむた 交通アクセス&周辺情報

交通アクセス

電車 JR博多駅より特急・久大本線で約2時間→JR由布院駅よりタクシーで10分
JR大分駅より特急・久大本線で約50分→同上
<飛行機の場合>
大分空港より タクシーで45分、バスで1時間
送迎 要予約
クルマ 湯布院ICからクルマで3分

周辺情報

周辺観光スポット 金鱗湖、美術館巡り
レクリエーション(観光農園、公園など) 辻馬車観光、スカーボロ散策(イギリスのクラシックカー)
スポーツ ゴルフ、テニス、レンタサイクル
スタッフより 草屋根の宿 龍のひげ/別邸 ゆむた:女将 日野真貴子さんからのコメント

2012年に新たな旅館として、「龍のひげ」をオープンしました。 “草屋根の宿”の名の通り、母屋の屋根には「リュウノヒゲ」という植物を植えて、夏は涼しく、冬は暖かくしております。 客室には、床下の冷気を運んで、エアコンいらずの涼しさを体験できます。 エコにこだわった宿を目指していきます。
取材日 2014/06/11
一部情報更新日 2022/11/25

※予約問合せの際は、必ず「貸切温泉どっとこむ」を見たと言ってください。

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この宿の記事制作者

温泉コム株式会社 代表取締役

30年以上前から、全国の温泉宿をまわり続け、「貸切風呂」の必要性を宿主に説いていた。 今でも、一年の半分を温泉宿で過ごす旅人でもある。 コラムニスト、カメラマン、ドローンパイロットの他に、ホームページのデザイン、コンサルタント業務もこなす。

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