「箱根エレカーサ ホテル&スパ」は、2008年12月19日に誕生したばかりの小さなホテル。
そのホテルのコンセプトを作り上げたのは、COO(最高執行責任者)の安齋邦政さん。
以前は、大手リゾートホテルチェーンで、26年間勤め上げ、総支配人を永年歴任、最後は本部長まで登り詰めた方だ。
そして、もうひとりの責任者が、エグゼクティブ・プロデューサー栗田なほみグレースさん。
もうひとつの肩書きとして、ブライダル・トータル・プロデューサーを持つ。
ホテルにウェディングを組み合わせたのは、彼女の力が大きい。
安齋氏が以前いた大型リゾートホテルでは、教会(チャペル)が併設されている。
そこでは、年間多くの結婚式が行われているが、それとは少し違った、ファミリー的な「アニバーサリー・ウェディング」が、「エレカーサ」で、できないかと考えたのだ。
それは「ゲストハウス・ウェディング」とも呼べるもので、教会とホテルをさらに密接化し、30〜40人規模の式で、コンパクトにしたものだった。
それを具現化したのが彼女、栗田なほみグレースさんなのだ。
栗田さんは、父親の仕事が通訳(日米間の裁判など)だったこともあり、ハワイ大学に語学留学を果たし、
30代の頃に日本のレストランが海外進出する際のコーディネートを手伝うようになった。
その後、35歳の頃には自分で会社(レストラン・歯科医などのユニフォームの製造)を立ち上げた。
そして、都内でスパサロンを作り、レストランをプロデュースした後、箱根のリゾートホテルにてスパサロンを誕生させる。
このように、栗田さんはいわゆるキャリアウーマンの典型的な方で、さらにブライダルのトータル・プロデューサーの資格も数年前に取得し、このホテルでのもうひとつの役目、ブライダルの責任者にもなったのだ。
時には、女性一人客の人生相談にも応じるという。
その二人で考えた理想のホテルづくりは、元々、大企業の所有していた保養所を再生することから始まった。
旧知の建築家、デザイナーに依頼し、まったく新しいホテルに生まれ変わらせた。
ホテルの名前の「エレカーサ」は、「エレガント」と「カーサ(家)」を組み合わせた造語。
お客にとっての理想的な「第二の邸宅」を目指してホテルを造り上げたのだ。
箱根という場所は、都心からのアクセスに恵まれている事から、ある程度のグレードの宿泊施設を作れば、お客が付いてきてくれるとの認識が宿側に多少なりともあるような気がする。
しかし、それに甘んじていれば既存の宿泊施設と同じ。
「箱根エレカーサ」には、できる限りのオリジナルティを追求することを心がけた。

実際、このホテルには様々なオンリーワンを見つけることができる。
まずは、メインダイニングのテラスからの眺望。
箱根に詳しい方でも、この角度からの眺めはあまり見たことはないはず。
箱根の大文字で有名な明星ヶ岳のふもとにあるおかげで、早雲山と強羅の町並みを見渡すロケーションは、他にはないだろう。
そして、前述のようなブライダルとホテルの融合。プライベート・ウェディングを希望するカップルには、最高の場所を提供してくれるはず。
充実したスパ施設も見逃せない。
直属のスタッフならではの、きめの細かいカウンセリングからのリラクゼーションは評判を呼んでいる。
しかも、1台150万円もする高級セラピーチェアを設置して、ワンランク上のサービスを心がけているのも素晴らしい。
客室も派手さはないが、それぞれ落ち着いた空間を作っており、センスの良さを感じさせてくれる。
バーやラウンジ、テラスなどのパブリック施設も、居心地のいい印象だ。
夕食に本格イタリアンを持ってきたのは、このホテルならでは。
大規模なホテルならば、和食、洋食など複数のダイニングを設けることはできようが、このホテルは別荘的なコンセプトの全15室。
規模からいっても、ひとつのダイニングしか持てない。
幅広く、できるだけの客層にアピールしようとの考えであれば、和食を中心にしたり、和洋折衷を考えたりするところだが、このホテルはいさぎよくイタリアンに一本化した(朝食は和食)。
この思い切りの良さもこのホテルの魅力になっている。
その他、中学生未満のお子さんの宿泊不可、客室での喫煙不可(喫煙ルームあり)など独自の路線を打ち出し、より快適に過ごしてもらうための用意も怠らない。
宿泊プランも、スタンダードなものから、お得なセットプランまで用意している。
女性一人旅プランも人気だそうだ。エステもネット環境も揃っているので当たり前なのかもしれない。
その他、ぜひ公式HPをご覧いただきたい。ネット予約も可能となっている。
標高553mの高台にあるホテルの周辺には、自然がいっぱい残っている。
毎年4月上旬には、山桜が見事だ。ツバキ、沈丁花もきれいだ。
10月中旬〜11月上旬は、紅葉のシーズン。もみじ、かえでも色鮮やかに目を楽しませてくれる。
四季折々に印象を違って見せてくれるのは、このロケーションがあってこそ。
大規模ホテルが難しく、小規模ホテルがよりできることは、やはりスタッフのサービスの質。
小さいホテルは、やはりゲストとの距離を狭めてくれる。
だからこそ、開業間もないこのホテルには多くの常連客が存在する。
例えば、一人で宿泊する20代女性は、ここで誕生日をスタッフに祝ってもらった。
60代のご夫婦の場合は、ご主人が奥さんに結婚記念日にこのホテルのステイをプレゼント。ご主人が、花束を奥さんに渡した際には、大粒の涙が。・・・などたくさんのドラマをこのホテルは演出している。
まさに、小回りのきくホテルの真骨頂。
これが「ホテルエレカーサ箱根 ホテル&スパ」の最大の魅力なのかもしれない。
やはり小規模ホテルは個性で売らなければならない。
それにお客はついてくる。
そんな単純なことを実践しているこのホテルは、これからも成長していく気がする。
ゲストの感動を「共有」してくれるスタッフがいるホテルは、誰が来ても心地いいし、そしてその未来も明るいのだ。(J)