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全室が南を向いている客室は、どの部屋からも四万川を一望できる。季節とともに移ろいゆく美しい景観の中で、清流のせせらぎに耳を傾け、大自然に包まれながらゆったりと安らぐ事ができる宿である。建物自体は新しくはなく、どちらかと言えばシンプルで素朴なものだ。その代わり、スタッフの心のこもったサービスや自然の恩恵をたっぷり味わえる環境がここにはある。豪華な施設や凝ったデザインの客室ではなく、そんな穏やかな過ごし方を求めている人には自信をもっておすすめできる一軒だ。無色透明の硫酸塩温泉の泉質を持つ温泉は、俗に「四万の病に効果がある薬湯」とも言われているが、入ってみると疲れた身体にしっとりと染み渡っていくようである。貸切の露天風呂は無料で利用できるので、大浴場だけでなく、こちらの湯も是非味わっておきたい。風呂場のドアを開けると広々とした空間が広がっており、開放感も十分。湯船の下に舗装された道路のようなものが見えるが、これは宿の私道とのこと。知らない人が通るような事はないので、安心して四万の湯を堪能してほしい。料理は、どこか懐かしさを感じさせる手作りの品々が並び、のんびりと客室で楽しむことができる。中でも、自慢の一品は手打ち蕎麦。麺を温泉の湯を使って茹で上げることで、コシのある歯ごたえが生まれるのだそうだ。また、様々な野鳥がその羽根を休めに訪れる巣箱も設置されており、「野鳥が集う宿」として愛好家から親しまれているという。鳥の種類に詳しくない人でも、その愛らしい姿には心が癒されるだろう。さらにロビーでいただけるセルフサービスのコーヒーが無料というのも嬉しいところ。出発前のひと時、野鳥の姿や四万川の風景を楽しみつつモーニングコーヒーを味わう…そんな過ごし方も乙なものだ。(AMA)
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