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「横手館」といえば、まずその外観の存在感あふれる佇まいに息を呑む。大正9年に建築されたという木造4階建ての本館は、数々の旅行客を迎え入れた歴史が建物全体から伝わってきそうだ。客室もなかなかいい。人気の客室「あららぎ」は、障子戸には現在ではなかなか見受けられない細工が施しており、ノスタルジックな雰囲気が漂っている。最近ではこのような古いしつらえの客室が特に若い女性に人気だという。やはりいいものは年月を重ねても素晴らしいということか。
しかしながら、昔の客室だから洗面所もトイレもない。やはり室内にそういったものがないと困る方には近代的な造りの別館に宿泊するという手もある。ロビーや廊下などで充分レトロ感は味わえるから。
そして、もうひとつの大きなポイントは、やはり温泉だ。独特の茶褐色の温泉は、伊香保温泉の中でも一部の旅館しか所有が許されていない非常に貴重な温泉なのだ。その温泉は「黄金(こがね)の湯」と呼ばれ、ある組合が集中管理している。それは「小間口権利者組合」といい、石段街周辺に集まるたった9軒の宿で組織されており、その中の1軒が「横手館」なのだ。そのおかげで、大浴場、貸切風呂すべてが「黄金の湯」源泉100%かけ流しとなっていて、温泉が不足していていわゆる循環風呂の旅館では特に羨ましい限りだろう。
露天風呂は用意されていないが、それを払拭してあまりある泉質の温泉がここにある。じっくりと本物の温泉を楽しんでほしい。
料理は基本的に部屋食となっている。次から次へと運ばれるお料理は、それぞれ趣き深いものばかりで、量的にも満足できるはずだ。
別館ロビーに元・総理大臣の書がいくつか飾られていた。今でも現役・大物代議士の常宿として使われているようで、この宿のもうひとつの顔を見ることができた。
大正時代の建造物と平成の時代の機能的な建物と2つ違ったものが同居した宿が「横手館」なのだ。この宿にノスタルジーを求めるのか、快適さを求めるかによって、客室を本館にするか別館にするか決めればよい。(J)
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