支笏洞爺国立公園に属する支笏湖は周囲42キロ、日本で8番目の面積を持つ淡水湖。最大水深363メートルと、田沢湖に次ぐ日本で2番目の深さがあるカルデラ湖だ。この深さのため水温が下がりにくく、日本最北の不凍湖としても知られている。札幌や千歳から車で1時間程度という距離も手伝い、手軽に大自然に触れることができると人気の観光地だ。周囲にはキャンプ場や、ユースホステル含め6軒の宿泊施設が設けられ、四季折々の風光明媚な光景が多くの来客を魅了している。
ここでは、元々阿寒湖から移入され、現在となっては名産として知られるチップ(ヒメマス)フィッシングも人気のアクティビティー。全国から多くの釣りファンが寄り集う地としても知られている。
この透き通るように美しい湖の周囲には、湖面に映える特徴的な山々がそびえる。
まずアイヌ語の“エ・エン・イワ(頭の尖った山)”を語源にもつ、標高1,319メートルの火山、恵庭岳(えにわだけ)。頂上付近に爆裂口があるため、現在でも噴気が見られることがある。そのため8合目までの登山が可能となっている。
風不死岳(ふっぷしだけ)はアイヌ語の“フブ・ウシ(トドマツの多いという意味)”を語源にもつ、標高1,102メートルの山。全体がトドマツやエゾマツ、ミヤマハンノキ、ダケカンバなどで覆われており、斜面もなだらかで登山に適した山である。
そして、支笏カルデラの南東壁にできた標高1,041メートルの火山、樽前山。頂上が切り取られたような印象的な風貌で、風不死岳の背後に隠れるようにしてある。
これら三山を湖越しに見渡す位置には案内所や観光船の発着所、飲食店や土産物屋などの施設があり、また湖畔からは緑に包まれた遊歩道も整備され、手軽に自然散策ができる。宿泊施設もこの周辺に集中している。
「支笏湖第一寶亭留 翠山亭」は、そのエリアの中にある宿泊施設のひとつ。この豊かな自然と美しい景観を損なうことのないよう、低層に抑えられた地上2階、地下1階、L形状をした建物だ。湖に面してこそいないが、豊かな自然を間近に体感できるロケーションにあり、上階からは湖を望むことができる。どっしりとした安定感の中、随所に用いられた木の意匠が、大人好みのする落ち着きと安らぎをかもし出す。
天井や柱などに木をあしらい、穏やかな色合いで統一された広々としたエントランスロビーは、外の雄大な雰囲気はそのままに、渋みある色合いの調度品が配置された上質の空間。ステップを数段下がるとゆったりとソファが置かれ、まずはここで一休み。奥の窓から覗く外の世界が爽やかに映え、旅路の疲れもここで癒されることだろう。
全体的にコンパクトにまとまった館内は、ひとつひとつの施設からゆとりを感じさせる設え。廊下の幅も広く、また随所にスロープも設けられているなど、車椅子などを利用していても不便さを感じさせないつくりだ。エレベータと階段で結ばれた各階の構成は、2階には16の客室とゲストサロン、エントランスのある1階には9つの客室と貸切風呂、地下1階には4つの特別室と大浴場、そして食事処が設けられている。
2階中央のゲストサロンは、旭川のカンディハウス製のロッキンチェアが置かれた、くつろぎの空間。烏龍茶や黄金桂茶のセルフサービス、窓際にはやベートーベンやブラームスなどのクラシック曲CDとプレイヤーが置かれ、滞在中に自由に利用することができる。窓の外に広がる雄大な景色を眺めながら、連れ合いと暖炉の前で語り合いながら、のんびりと思い思いに過ごしていただきたい。木々の合間からは恵庭岳や湖も見られ、奥のテラスに出ればより間近に国立公園を感じられることだろう。
地下1階にあるのが内湯と露天からなる大浴場。支笏湖温泉はもともと湯量の多い所ではないが、このホテルではもちろん、天然温泉を使用している。男女入れ替えはなく、男湯と女湯は左右対称のつくり。内湯には樹齢1000年の古代檜を使用した湯舟とサウナに水風呂、露天部分には荒々しい印象の岩風呂、ジャグジー付きの寝湯が備えられている。内湯と岩風呂はそれぞれ大人7〜8名が入れるほど。湯舟奥に見える緑が清々しく、まさに自然の中で湯浴みをしている感覚が得られるであろう。
本館から徒歩1分、丘を少し上った所にあるのが、別館で全5室のオーベルジュ、「支笏湖翠山亭倶楽部」だ。木々に抱かれるようにして佇むこぢんまりとした外観は、山のロッヂを思わせる素朴さが漂う。木製のドアを抜けると、高い天井の伸びやかな空間に包まれる。穏やかな色合いに統一された館内、このロビー内にある階段を下った1階には3室、数段上って左手に2室の計5室があり、ロビーの右手にレストラン「CLOUD」があるというコンパクトな構成だ。
あくまでこの環境と食事を楽しむ場であるこのお宿には、宴会場やカラオケといった娯楽施設はない。こういった静かな環境に身を置けば、きっと誰もが目の前に広がる雄大な自然に見入り、そして魅せられる。ロビー奥にあるバーラウンジでは、巨大な一枚板のカウンターで各種カクテルやコーヒーなどをいただける。正面に切り取られた窓からの風景が、まるで一枚の絵画のような存在感を持って佇む。四季折々の風情を楽しめるこのバーで、この宿ならではの楽しみ方でこの環境を堪能したい。
本館の客室は地下1階から2階にかけて全29室でタイプも7種類。客室によって眺めだけでなく、広さや間取り、仕様も異にする。
特別室は地下1階の「萌葱(もえぎ)」、「水浅葱(みずあさぎ)」、「紫苑(しおん)」、「浅緋(うすあけ)」の4室、いずれも玉砂利の敷かれた枯山水風の庭園に面し、その庭園の端に檜湯舟の露天風呂を擁する。この4室は同じ広さを持ちながら間取りも仕様も異なり、「萌葱」は23.5帖の広い和室、「水浅葱」はセミダブルベッドの置かれるツインの寝室と、和室、応接間という構成、「紫苑」は室内に本格的な茶室が設けられており、「浅緋」には応接間に隣接して8帖の和室、そしてツインベッドの寝室が備えられている、という具合だ。どれも広さと落ち着き、そして静けさを備える各特別室。お好みの滞在スタイルに合った一室をお選びいただきたい。
これら客室に宿泊の場合のみ、食事も部屋で取ることが可能。また、食後にはロビー横にあるバーで好みのカクテルなどを一杯いただくことができる。
館内でも最も眺めの良い2階の西側にある2客室「220」、「222」は、展望露天風呂の付いた特別室。その眺めを堪能するべく、ウッドテラスと連結して露天風呂が設けられ、木々の間から恵庭岳や湖面を見ることができる。一般客室の倍の広さを持ち、間取りも琉球畳が敷かれた約8帖の和室と、ツインベッドの洋室という構成。和室に布団を敷くこともできるので、家族旅行や小グループでの滞在に向いた一室といえよう。
2007年2月にリニューアルされた新しい客室が、スパリビング付ラグジュアリーツイン。これは2階の山側に2室設けられている。暖かみのある色づかいで統一されたスタイリッシュな設えの中、ガラス張りのバスルームの中に檜湯舟とシャワーブースが置かれているリビング。42インチ液晶TVとソファ、和紙の灯りと、寛ぎの風情が強調されている。隣接する寝室は通常のツイン洋室で、ゆとりあるセミダブルベッドが置かれる利便性にも長けた一室。これら2室が廊下で連結する。ここは是非、プライベートな時間をより濃厚に楽しみたい、という方にお勧めしたい。
以上特別仕様の客室以外にも温泉風呂を持つのが、1階山側の「106」、「107」2客室だ。ここはツインベッドの洋室に、庭園に面した露天風呂が付く。ロビーからそのまま段差もなく到達でき、また室内もベッド仕様、液晶TVが壁掛けにされている。車椅子をご利用の方や、ご高齢の方などでも楽に利用ができる一室ということができそうだ。
一般室も3タイプ用意されている。
2階の湖側の6客室は、ツインベッドとソファセット、机というシンプルな室内ながら、洗練された意匠の洗面台と大きな白い湯舟がゆったりとしたスペースに配置されるバスルームが特徴的。窓からは恵庭岳が見える。湯舟横の壁には窓が切り取られ、リビングと一体化したような気分を味わうことができるだろう。
2階の山側6室はツインのベッドルームというシンプルな客室。湖の眺望はないものの、広々とした設えの中、利便性に満ちた設備がそろう。このタイプは通常2ベッドだが、エキストラでもうひとつベッドを入れて3名までの宿泊が可能となっている。
最後に1階の湖側7室は、ツインベッドの洋室の奥に、約6帖分の畳スペース(琉球畳12帖)が窓際にある和洋客室。窓の外からは木々が陰になるものの、葉の落ちる冬季などには支笏湖も垣間見える。エントランスのある1階にあるため、車椅子をご利用の方や、ご高齢の方などでも気軽に利用ができるタイプの客室といえるだろう。
別館「支笏湖翠山亭倶楽部」は全5室の小さなホテルだ。客室は3タイプ。グレードと広さによって価格が異なるものの、基本となる設備は同じ。部屋によってイメージカラーに違いがあるが、暖色系の灯りや間接照明などの醸し出す洗練された雰囲気は同じ。客室には壁掛けの液晶TVとビデオ&DVDプレイヤー、冷蔵庫、浴室がタイル張りされたジャグジーバスと浴室TVが付く。
最上級となるのは「101号室」。最も広く、また支笏湖を望めるバルコニーには、リクライニングチェアーも置かれている。
次に「201」と「202」、これら客室は2ベッド(セミダブル)の洋室に洗面室・バスという構成。
スタンダード客室の「102」はダブルベッド、「103」はセミダブルのツインという違いがある。
静かな環境における滞在の中でも、特に料理を楽しみたいという方に好評なのが、このオーベルジュスタイル。ここ「支笏湖翠山亭倶楽部」の素朴かつ洗練された意匠からは、あくまで料理を中心に据えた宿であるという、実直な姿勢というものが感じられる。
なお、別館に宿泊の場合でも、徒歩1分にある本館の大浴場、貸切風呂は利用が可能だ。送迎も付くので、冬期など足元の不安定な時期には是非ご利用いただきたい。
エントランスの駐車場側に張り出した棟には、食事処が入る。地下1階が夕食会場となる「苔庵(たいあん)」。地上1階が朝食会場であり、昼食時には一般開放されるレストラン「草庵」。
本館の夕食をいただく「苔庵」は、入り口の赤い竈が印象的。中心に囲炉裏を配した民芸調の趣で、様々なサイズの個室に分けられた座敷席と、ゆるやかに仕切りの設けられたテーブル席とが用意されている。また、このテーブル席は厨房と接しており、壁の一部に開口部が設けられ、厨房の様子を眺めながら食事をいただくことも可能となっている。希望があれば早めにスタッフにお伝えいただきたい。
食卓を彩るのは、もちろん北海道の味。誰もが期待する海の幸だけでなく、支笏湖ならではの味ともいえるチップや、有機栽培された野菜なども効果的に取り入れられているのが特徴である。取材時(2008年6月)は初夏の爽やかさをそのまま取り入れたメニュー。全体的に穏やかな味付けで、幅広い年齢層に受け入れられているようだ。以下に紹介する。
食前酒は白ワインまたは地酒から選ぶことができる。ワインはこの日、浦臼産の「鶴沼」、地酒は小樽の酒造メーカー、『北の誉酒造』の大吟醸酒、「鰊御殿(にしんごてん)」だ。ワインの芳醇な香り、地酒の透明感のある味わい、どちらも食欲をかきたて、また北海道の豊かな大地を連想させるエントリーだ。
突き出しはじゅん菜と蟹の博多、冬瓜スープ仕立ての二品。夏野菜を用いた両品、しょうがの香り立つ淡い味付けのはさみものと、ザラつきのないスープの爽やかな口当たりで、胃袋にもすんなりと収まる。
続く前菜には、うなぎの押し寿司、五三竹味噌漬け、山女魚一夜干し、ズワイ蟹クレープ巻き、つぶ貝葉山葵和え、そら豆はさみ揚げ、手長海老から揚げの七種がマスに入れられて登場する。北海道の夏らしく、爽やかな色合いで統一された各品、ズワイ蟹のクレープ巻きの甘みが良いアクセントとなっている。
お吸い物は夏らしく、積丹産鮑(アワビ)の冷製吸いとろ。滑らかな口当たりの中、磯の香りをマイルドに溶け込ませ、夏らしくさっぱりとした冷製スープに仕立て上げられている。この後に続くお造りに、期待感を抱かせる。そして、釧路産ぶどう海老、古平産海水雲丹、支笏湖名産の天然チップ(姫鱒)、小樽産の真曹以と、いずれも道内で水揚げされた新鮮な魚介類が並ぶお造りが登場。北の海の幸を贅沢に切り取った一皿である。
次に、網走産のきんき酒蒸しが、豆腐の上に載せられる煮物が出される。本来淡白なキンキ(キチジ)と豆腐の味を引き立て、また統一感をもたらすのは、湯葉あん掛け。口に含むことでその閉じ込められた香りも倍増する。冷たいものが続き、以後の温かいものへのスムーズな導入となっていた。
焼物には白老産、和牛ヒレ肉の炭火焼と、支笏湖産チップの西京焼。添えられているのは、蛇籠蓮根、佐賀産のバラフ(アイスプラント)。知床の海洋深層水から採られた荒塩と、金山寺味噌、すだち、それぞれに特徴がある味わいプラスしていただきたい。
次に続くのは近郊農家の野菜を用いたサラダ。活蛸、北寄貝、蕪、オクラ、水茄子に、土佐酢のジュレとオリーブオイルを和えたさっぱりとした口当たりが美味。ラディッシュと姫人参を添えて彩りも加わる。メインの後の箸休めには最適な一品だ。
揚げ物には牡丹海老、胡麻人参、独活、青唐の天ぷら。軽やかな口当たりと味わい、野菜を中心としたセレクトもお腹にやさしい。
留め物として、千歳・田園倶楽部産のフルーツトマトにモッツァレラチーズをはさんだカプレーゼ風の一品。夏の香り高いきゅうりのソースをかけて風味を増した。添えられている野菜も田園倶楽部産。グリーントマトチップに、アロエのような食感があるグラパラリーフ、グリーンアスパラ、ホワイトアスパラが皿を彩る。締めのお食事、ほのかな甘みのある白米はニセコ近郊の蘭越産、「ほしのゆめ」を釜で炊いたものだ。網走産のしじみ汁に烏賊の沖漬けと漬物三種盛り合わせが付く。
デザートにも地産のこだわりが。帆別産赤肉メロン、ハスカップムースと、これは山形産だが旬のさくらんぼが並ぶ。ハスカップは道産のフルーツで、ブルーベリーにも似た味わいが特徴のもの。この酸味が口直しにもなっていた。
朝食は1階の食事処、「草庵」で。ここもテーブル席と座敷席に分けられている。
お盆に載せられた定食だけでなく、会場入り口に並ぶバイキング式のサラダや自家製豆腐、牛乳、フルーツトマトジュースなどを各自取り分けることができる。サラダなどに用いられている野菜類、千歳の田園倶楽部のフルーツトマトやコスモファームのベビーリーフ、サラダほうれん草などはどれも、独自の農法で育てられた安全で栄養価の高いもの。本当に豊かな食文化を提案する取り組みは、ここ第一寶亭留の食事に活かされている。
お盆に並ぶのは、蕪とワラビの厚揚げ巻き、塩鮭、きゃらぶき、水菜のおひたし。ごはんかお粥を選ぶことが出来る。
一日の始まりに、出発前に、栄養価が高く、そして味わいも爽やかな朝食で、再度北海道の味覚を堪能できるのは嬉しいかぎりである。
またここは表の道路からも直接出入りができ、ランチ時間には一般開放されるレストランとなる。ランチメニューとして、そば粉100%の十割そばを中心とした食事が楽しめる。
別館「支笏湖翠山亭倶楽部」はオーベルジュである。当然料理には宿泊と同等以上に力を入れ、本格的なフレンチが饗されるのだ。
食事をいただく場所は、館内に設けられたレストラン「CLOUD(クラウド)」。オレンジに配色されたお洒落な扉をくぐると、こじんまりと落ち着いたフロアになっている。2面に渡ってとられた窓からの光と景色は、食事を引き立てる最高のスパイスとなることだろう。
そんな抜群のロケーションの中でいただく料理は、以下のメニューとなる。ちなみにこちらは泊食分離となっている。取材時(2008年6月)にいただいたのは10,000円のコースだ。
アミューズは、支笏湖産のチップ(姫鱒)のマリネ、フォアグラのムース、ボタン海老のタルタル、チーズのシュー、ケールとリンゴを割った青汁が並んだ。パンはバゲット(フランスパン)ではなくゴマとプレーンな丸パン。
前菜は千歳産の夏野菜ラタトゥイユ風と阿寒湖産ザリガニのテリーヌ仕立て。ズッキーニやトマト、黄色ピーマン、ブロッコリーをニンジンで包んだものに、アメリカンソースにマヨネーズを和えたバジル風味のヴィネグレット(ドレッシング)を添えた爽やかな一品。
つづく前菜は無農薬アスパラガスのソテー。契約農家から直で仕入れているアスパラにパルミヂャーノチーズを振り、イタリア産生ハムと一緒にいただく。シンプルなだけに、素材の旨味をダイレクトに味わうことができる。
次の皿は夏野菜とホタテの冷菜。アスパラ、インゲン、オクラ、スナックエンドウ、紫アスパラをメランジジェ(塩とオリーブオイルで混ぜる)したものと厚岸産の新鮮な帆立を、アボガドのソースでいただく。野菜は千歳産、塩はフランス産のカマルグ岩塩を使用している。
つづく皿は、水茄子のロースト。大阪産水茄子に4種類のポワブロン(ピーマン)とクルージェット(青いズッキーニ)、フランス産フォアグラのポワレがのせてある。また、マデイラ酒とトリュフ風味のクリームソースと地場キャラブキのソテーが添えてある。
スープに当たるものとして、オホーツク海のタラバガニと白老産キャビアのジュレに伊達産カリフラワーのクリームソースを添えたものが並んだ。冷製のジュレはのど越しがよく、さっぱりとした味わい。
魚料理は千葉沖産のスズキのポアレ南仏風。下川町のミディトマトのコンフィとドライトマト、函館産の赤軸ほうれん草のピューレと共に。
口直しには、ギネスビールのグラニティが出された。黒ビール独特の濃くと苦味、その中にほのかな甘みが醸し出される、いままで味わったことのない不思議な食感だった。
肉料理は十勝和牛のフィレステーキ。付け合せにはサマロのルッコラ、宮崎産の小芋、十勝産のメークインのリソレ(オープンで軽く炒めること)、箱根牧場のフロマージュブランが添えられる。
チーズは白カビのチーズ、サンタンドレが出された。クセの少ない食べやすい味わいで、中身はトロット柔らかくバターのように濃厚な味を楽しめる。
デザートは芝和町産のらいでん西瓜をブラッドオレンジのゼリーで包んだテリーヌ仕立てとソルベに、北竜町産のクリーム西瓜が添えられた彩り鮮やかな一品。
小菓子にはグミとクッキーとチョコレート、それにコーヒーか紅茶が付く。今回はコーヒーをいただき、食後の幸福感に浸らせてもらった。
こちらは朝食も本格的だ。料理長自家製のパン(ナッツのデニッシュ、スコーン、クロワッサン、シナモンロール、トースト)にはバター、ハスカップジャム、牛乳ジャムが付く。牛乳とブラッドオレンジ、グレープフルーツのジュース、北海道豚のハム、夢精卵のオムレツ、ハーブソーセージ、ラタトゥイユ、クルージェットのカプチーノ風スープがメニューに並んだ。デザートはモモ、キュウイ、ビワ、巨峰、無花果(いちじく)、イチゴ、オレンジの果物の盛り合わせにブルーベリーのヨーグルト。食後にはコーヒーか紅茶が選べる。
「支笏湖翠山亭倶楽部」では、ランチ営業も行っている。2,000円と3,000円のコースがあり、こちらもアミューズ、前菜、スープ、メイン、デザートという本格フレンチを、リーズナブルなお値段で味わうことができるのだ。チェックアウト後に支笏湖畔を散歩して、ランチを堪能するなんていうのも、オススメの過ごし方だ。
本館ロビーの傍らには、改装の際に新たに設けられたというバーラウンジ「レイク・バー」がある。中国の古民家から移築したという部材の、重ねてきた年月が醸し出す渋みと落ち着き。ひとたび足を踏み入れるとまるで異空間の様相を呈する。
本館地下1階の特別室に宿泊の場合には、ここで一杯ドリンクが振る舞われる。オリジナルカクテルからウィスキー、バーボン、そして道産のワインまで、幅広いセレクトがある。食後のひととき、静かな空気に包まれるこの宿の一角で、大切な人との濃密な時間を過ごすには最適な空間である。
ロビーの入口横にあるお土産コーナーも是非のぞいてみたい。部屋のお茶請けにも出されるオリジナル菓子、「翠蝶の舞」(12個入り¥735)や「牛蒡せんべい」(20枚入り¥1,050)、朝食のサラダにかけられるオリジナル胡麻ドレッシング(大/¥840、小/¥525)などが人気だが、北海道産のワイン各種や、往時のアメリカでの加工記録、輸入記録をもとに生成された、開拓時代の味を再現したコーヒー、「クラーク博士の珈琲」なども人気のお土産である。
札幌からほど近い距離にありながら、周囲に太古の大自然が残る、絶景の温泉リゾートホテル「支笏湖第一寶亭留・翠山亭」は、定山渓温泉に本拠地を置く第一寶亭留グループが運営している。
同グループは、平成20年現在、北海道で7つの宿泊施設を持つ。
その多店舗展開の一番手となったのがこのホテルで、旅館を買収し、平成14年にリニューアルを施した後「支笏湖第一寶亭留・翠山亭」を開業。
その後、平成16年10月に、こちらも大手企業の保養所を買い取り、別館として「支笏湖翠山亭倶楽部」をオープンさせた。
静かな支笏湖のほとりに佇む、この2つの宿泊施設は、大人のための隠れ家的な雰囲気がある。
和のテイストが施された静寂と眺望の本館「支笏湖第一寶亭留・翠山亭」、たった5室の小さな規模ながら、フレンチをいただけるスタイリッシュな別館「支笏湖翠山亭倶楽部」と、性格の異なる両ホテルは、神秘的な支笏湖の風景に溶け込むように、ひっそりと佇んでいる。
特に本館である「支笏湖第一寶亭留・翠山亭」は、ラウンジ、ゲストサロン、バーなど、宿泊客が自由に利用できるスペースが数多く用意されている。
湖面に映る山々や原生林は、四季折々に様相を変える。夏はもちろんトップシーズンだが、冬の支笏湖の幻想的なランドスケープも見事だ。
別荘感覚で利用する客が、このホテルには多い。そして連泊客も多い。
それは、やはりロケーションの良さが第一に挙げられる。このホテルを見ると、やはりリゾートホテルの生命線は立地にありと再認識させられる。
また、新千歳空港からのアクセスがいいので、日本全国からのお客が集まってくる。
支笏湖エリアは、北海道の中でも一、二を争う人気地区となっているのもそのせいだ。
「支笏湖第一寶亭留・翠山亭」の公式HPを見ると、航空券付き宿泊プランも設けられていた。これは便利だ。
非日常へのトリップをお考えなら、このホテルはお勧めだ。秘密の隠れ家としてぜひこのホテルの名前を覚えておいていただきたい。(J/eb/Hr)