野の花亭こむらさき 宿泊レポート

夕食はお部屋でいただくことになる。 まわりを気にせずゆっくりと食事の時間を楽しんで欲しい。 さて、取材時（2015年9月）の献立を紹介しよう。 食前酒はリンゴ酒でさっぱりとした味わい。 いつもきまっているわけではなく、こちらも季節によってかえているとのこと。 先付は柿の白和えだ。 同じお盆に載せられて前菜が並ぶ。 前菜には、栗甘露煮、衣かつぎ、銀杏、柿餅、むかご、金目鯛燻製という6品目。それぞれ一口大でいただけるかわいらしい見た目。 濃口醤油と甘口醤油が用意され、好きな方で少し味付けしていただく。 金目鯛燻製は自家製とのことで、時間をかけて燻したであろう香りが口の中を満たしてくれる。

先付：柿白和え、 前菜：栗甘露煮、衣かつぎ、銀杏、柿餅、むかご、自家製金目鯛燻製

先椀には松茸土瓶蒸しだ。
やはり秋の香りと言えば、松茸ははずせないだろう。
じっくりとにこまれた松茸は汁にもよく味わいがしみだしており、飲んでも、食べても美味。
すだちもほんのすこしかけるだけで、また違った味わいを感じさせてくれる。

先椀：松茸土瓶蒸し

御造りには、すぐ近くの下田港で水揚げされた魚介類が並ぶ。
取材時はバショウイカ、カンパチ、アジ、カワハギ、アオダイの5品目。
新鮮な魚介類なので当然だが、毎日何が並ぶのかは決まっていない。

下田港水揚げ魚盛合せ

台の物は、伊勢海老と金目鯛のしゃぶしゃぶだ。
ポン酢に薬味を添えていただこう。
くぐらせるお湯には、ミネラルの豊富な天城深層水が使われている。
これは、伊豆の名水としても売られているお水で、客室の冷蔵庫にはペットボトル入りの天城深層水も置かれている。

台の物：伊勢海老と金目鯛　天城深層水しゃぶしゃぶ

洋皿は伊豆牛のステーキ。
契約している精肉店から直に仕入れているため、多くのレストランや旅館では食べられないような上質なものを提供できるのだそう。

洋皿：伊豆牛ステーキ

懐石料理の中にオリジナル料理として盛り込まれているのが、この宿名からその名が取られている「こむらさきグラタン」。
この宿の定番メニューがこれだ。
沖縄産の紫芋を使った甘みたっぷりのソースの中に、その時々の季節の魚介食材がトッピングされており、デザート感覚でいただける。

オリジナル：こむらさきグラタン

揚げ物の秋の天麩羅盛り合わせ、エビやナス、サツマイモなど種類豊富な天麩羅が盛りつけられている。
外浦海岸の天然塩でいただくのがオススメとのことだが、要望に応じて天つゆも用意してくれる。

揚げ物：秋の天麩羅盛り合わせ

焼き物は金目鯛で塩で味付けしたシンプルだが、魚の旨味をストレートに感じられる。
同じお盆に乗るのは、煮物のアジつみれ炊き合わせだ。

焼き物：地魚　外浦の天然塩塩焼、 煮物：アジつみれ炊き合わせ

止め椀のお盆には、御飯、酢の物、味噌汁、香の物、ほうじ茶が並ぶ。
味噌汁にはふのりが入っており他の海藻類に比べて、少しコリコリとした食感が楽しい。
噛むたびにそうした食感と磯の香りが広がる美味しい味噌汁であった。

止め椀、香の物、酢の物

デザートは2品が供される。
この時はチーズのプリンのマスカット載せと、青じその自家製シャーベット。
青じそのシャーベットは青々とした香りが心地よい一品であった。
シャーベットは毎日違うものを出しているといい、宮内庁の元料理人が社長と友人で、その縁があって同じシャーベット製造機を譲り受けたそうだ。
ちなみに昭和天皇は、このシャーベット製造機で作るアボカドのシャーベットがお気に入りだったとのこと。

デザート

朝食も夕食と同様に、お部屋でいただく。
食前の梅抹茶は優しい酸味の効いた一品。
おみやげ処でも販売されている。
食事は和食か洋食かを選ぶことができる。
和食の場合は干物がメインとなり、洋食の場合は卵料理がメイン。
洋食の卵料理は、オムレツかスクランブルエッグか目玉焼きかをさらに選べる。
また、前日の夕食に伊勢海老があった場合は、次の日の朝の味噌汁に伊勢海老が入り、朝から驚かせてくれる。
濃厚な伊勢海老の味わいが朝の胃と脳をしっかり起こしてくれるはずだ。
こちらは和食と洋食で共通であり、他にデザートのヨーグルトと食後のコーヒーも共通となる。

朝食の一例